アメリカ学生のスポーツトラベルチームとは?
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アメリカ学生のスポーツトラベルチームとは?

トラベルチームは親も子供も

本気の

スポーツクラブチーム

『アメリカの学生のスポーツ事情』では、日本と違い、多くのスポーツが春夏秋冬のシーズンごとに分かれている話や、スポーツによって大学への奨学金を報酬として受けるため、多くの生徒が高いレベルを目指していると説明しました。 


また、コロナの真っ最中という2020年の記事のためですが、アメリカの学校や州ごとのスポーツ協会では、どう対応しているかという話を記事にしました。 


今回は、日本では聞きなれないトラベルチームの深堀りをしたいと思います。


アメリカで子供がスポーツをしていると、小学校の高学年頃に耳に入ってくるので、意味を理解していると色々と役に立つと思います。

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  • トラベルチームとは
  • トラベルチームの練習、試合内容
  • トラベルチーム内での親の役割
  • 最後に

【トラベルチームとは】


トラベールチームはどんな役割かと言うと、日本でいう所のクラブチームのようなイメージです。


すべてのメジャースポーツにトラベルチームはあるのですが、ある程度経験を積んでいる小学校高学年からトラベルチームは形成されています。


地域や学校のスポーツクラブに所属していても得られる技術や練習量には限りがあるため、更に上手くなりたい!もっと技術を磨きたい!という子供に対し、試合数や練習の増加、専本的なコーチのもとにトラベルチームが運営されています。


子供たちのスポーツ技術の向上を図るのがトラベールチームの役割です。

通常の誰でも入れる地域や学校のクラブとは違い、トラベルチームはチームに入るためにトライアウトが開催されます。(高校生では学校のスポーツの部活動でもトライアウトはあります!)


最初からふるいにかけられるので、入った段階からある程度レベルの高い子供たちが揃っているため、その中で競い合い、練習や試合を積み重ねていくのです。

【トラベルチームの練習、試合内容】


トラベルチームと名の付くぐらいなので、試合への遠征はつきものです。近隣地域との試合というのでなく、チームは同じ州や州外のリーグに登録し、単に楽しむだけでなく、本気でスポーツをして勝負にこだわります。


地域や高校のスポーツスケジュールに被らないように設定され、プラスアルファとして追加で練習、試合が開催されます。

それでもトラベルチームとしての練習は、大抵週数回程度が基本的だと思います。


試合は、年齢が低いと週末どちらか、または土日の両日。高校生にもなると、木曜日や金曜日から週末にかけて試合が連日入ります。


高校生のトラベルチームともなると、州外の試合は当たり前で、車で56時間かけて遠く、ただし強いリーグ内での試合に参加します。


更に上のレベルになると、飛行機を使う遠征や、西海岸、東海岸、南部など、小旅行というようなレベルの遠征となります。


我が家の次男は夏の野球で6年生からトラベルチームに入っていますが、6年生の時は野球の殿堂があるニューヨーク州のクーパーズタウンまで遠征に行きました。

私たちはシカゴ郊外のチームですが、クーパーズタウンは6年生では最も有名なリーグなため、他のチームはカリフォルニア、フロリダ、テキサスなどからはるばる参加していました。


次男は高校生の今も真剣に野球をしていますが、今年はセントルイスやシンシナティなど、片道車で46時間かかる範囲での遠征参加でした。


毎週木曜日から日曜日まで4日連続、時には一日で2試合連続という試合の積み重ねと、かなりタフでないとやっていけないスケジュールでした。


私の友達の男の子も同じ高校生ですが、彼はフットボール選手で、それもイリノイ州で1番のクォーターバックという一番重要なポジションの選手。


彼の場合の遠征は、車で数時間という話でなく、それこそフロリダ、カリフォルニアという遠出の試合となり、車が無理なら飛行機でお父さんと試合のリーグに参加していました。

強ければ強いチーム、あるいは個人でも招待選手としてリーグ戦への参加に呼ばれるので、遠征への距離が遠くなるのです。


高校生になると、部活動というがもちろん学校活動の範囲としてありますが、あくまでもトラベルチームで技術や経験を身に着け、高校での活動は技術の向上というのでなく、得た技術を披露する場、というイメージとなります。


地域のお父さんや学校の体育の先生がコーチをしているわけでなく、コーチはそれなりに実績のある人がつき、そのコーチが良いからとトラベルチームを選ぶ場合が多いです。


高校のトラベルチームは、選手自体かなり本気の生徒ばかりで、大学への奨学金やスカウトを期待して参加するので、コーチ自体のレベルもかなり高いです。


大学時代に活躍した人、プロ経験者やマイナーリーグの経験者、またその中でコーチをしていた人など、驚くようなコーチも多くいます。


そのコーチに丁寧に教わり、技術を磨き、試合もレベルの高いリーグへ参加するので、否応でも個人のレベルは上がっていきます。


もちろん高校でも素晴らしいコーチや先生はいますが、トラベルチームのコーチほど精鋭ではない場合が多いという事です。

【トラベルチーム内での親の役割】


日本でもそうですが、親のサポートはスポーツを真剣にしている子供には大変重要です。


アメリカの場合、何度も書いていますが、スポーツが出来る子供は大学への奨学金を得られる可能性が十分あるので、日本とは比べ物にならない程、親も自分の事のように真剣です。


サポートと言っても色々ありますが、基本的な金銭的サポート、遠征のための車の運転やトラベル期間の全般的サポート、子供がより良い環境に身を置くためコーチや外の情報のコミュニケーション管理など、日本とは違った形で多くのサポートが必要です。


そのような理由から、昨今では裕福な家庭からでしかスポーツのエリートは生まれく、貧困層からのスポーツ選手は、驚くほど抜きんでて活躍している選手がどうにか周りのサポートを得て大学進学やプロになるという具合です。


裕福な家庭でさえ、家族以外のコーチなどの大人がさまざまなサポートを提供しているという状況でないと、子供だけでの頑張りではやっていけない競争社会です。


日本でももちろん親のサポートは絶対必要ですが、年齢が上がってくると共に、親はどちらかというと家庭内での食事や環境作りのサポートに回っているのでないでしょうか。

遠征があっても全ての試合についていく必要もないですし、費用さえ出してしまえば、コーチやチームが全てを管理してくれるという状況かと思います。


実は、私の兄はボクシングのオリンピック選手であり、大学も六大学の一つにスポーツ推薦で入学しています。そのため、日本でのレベルの高い選手の家庭状況も子供の頃から身近に見ていました。


もちろんスポーツによっても違うでしょうが、アメリカの場合は、チームで一括で管理して遠征費用をまとめるというのでなく、個人が各々に出費するものなので、遠征地へのトラベル費用、ホテル予約、その他食事やトーナメント参加以外の事は、すべて個人で対応しなくてはなりません。


もちろん、チームが勧めるホテルの名前や乗る予定の飛行機の時間などは共有されますが、大抵あくまでも個々人で開催場所まで赴かなくてはなりません。これが結構大変なのです。

私は個人事業主として在宅で仕事をしているので、次男や三男坊の遠征や遠出の試合にも比較的自由に連れていけます。


しかし、これが通常の会社員、それも両親ともにそうだとすると、やはりどちらかが休暇を取って参加をする形になります。


一日だけの遠征なら他の親に依頼する事も可能ですが、さすがに数日のホテル滞在となると、依頼する方もされる方もサポートが難しいので、トラベルチームに参加するというのは、親としても相当な覚悟が必要なのです。


また、これは日本も当然ですが、金銭面でのサポートはかなり大きく必要です。


トラベルチームと一言に言っても、スポーツやそのチームのレベルもあるので少々違うのですが、我が家が知っている野球の範囲でいうと、通常1か月半程度の強化チームであれば$600。3~4か月で$1,000~$1,200程度。


トーナメント参加費用などがかかるので、練習期間が長くとも、トーナメント参加自体は5週間ほどとなると、また値段的にも低いと思います。


そして、これが半年から9か月となると$3,000~$5,000ほどになもなり、そこに含まれてくる内容もかなり違いがあります。


もちろん、年齢が上がって高校生となると、これに試合への遠征費、パフォーマンスを上げるするためには関連グッズもこだわりを持つのでその道具の費用。単にトラベルチームに参加するだけの費用以外に多くの費用が必要となります。


そして、更に上を目指す場合はコーチにプライベートレッスンを依頼したりするので、各家庭の金銭的負担はかなり大きいと言えるでしょう。


でも考え方によっては、ここで良い成績を出してよい大学や奨学金を得て大学に行けるなら、小さい時に投資をしていた方が良い、という考えも多くあります。


日本よりも親の役割が多方面に渡り、親の子供への関わり方によって結果も大きく変わるので、やはり親も力が入ってしまいますよね。

【最後に】


トラベルチームというのは、子供が単にスポーツを楽しむためのチームではありません。子供本人のやる気や技術も高く、絶対に上手になりたい!という強い意志も必要です。


また、親のサポートは生半可ではやっていけません。


小学生、中学生なら「子供が好きだからもったやらせたい!」という気持ちでも良いですが、高校生となるとトラベルチームのレベルもやる事も本気で取り組まないと出来ません。


だから、高校生ともなると、そこそこのスポーツのレベルであるなら、トラベルチームには参加しません。やるなら子供も親もとことんやりきる!という強く固い意志のもとトラベルチームに参加する、という流れになるのです。

自分の子供のレベル、家庭のサポート状況など全てを加味しのトラベルチーム参加なので、本気でスポーツをやりたい子には、やはり楽しく素晴らしい環境であります。


トラベルチームへの参加は、好きなスポーツをもっと練習でき、レベルも上達出来るという最高の場であるのは確かです。


だから、そのようなお子さんをお持ちのご両親、どうぞ一緒に頑張ってください!感動をいっぱいもらえますよ!