学生たちの政治に対する取り組み方
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学生たちの政治に対する取り組み方

4年に一度のアメリカ大統領選挙まであと1か月を切りました。先日、大統領候補のトランプ大統領(共和党)とバイデン元副大統領(民主党)の両党代表による討論会が行われました。今回は、副大統領候補のペンス副大統領(共和党)とハリス上院議員(民主党)との間で1時間半の討論会が行われました。ハリス上院議員は、アメリカで初の有色人女性による副大統領候補者です。これら討論会に対する感想や意見は政治に詳しい方に任せるとして、私の視点から日米の人々の政治問題に関する取り組み方や意識の違いをお話したいと思います。個人的な感想なので、違う意見もあるかと思いますが、私の中で長い年月をかけても変わっていない事なので、是非共有させてください。 

まず、アメリカ人は基本、政治への関心がとても高いです。地域や都市部かどうかの違いも関係してきますが、自分の政治的視点やポリシーは日本人よりもかなり明確で、堂々と公言しています。選挙のキャンペーンが始まると、車に応援している候補者のスティッカーを貼ったり、自分の家の前に候補者や政党の小さな看板を出したりしています。アメリカのマーケティングは長い歴史があり、政治にも戦略としてこのように使われていますが、それにしても一般人が自ら広告塔となって宣伝しています。よく初めて会うアメリカ人とは政治、宗教、年俸(お金)の話はするな!と言われますが、それなりに関係を作ってきた人たちとは、政治の話は普通に出てきます。それも天気の話をするかのように、カジュアルに会話のトピックとなり得ます。しかし、応援している政党が違うとセンシティブな話であることは変わらないので、時には口喧嘩になる場合もあります。よって、お互い話を進める際は、ジャブをかわしながら、同じ政党を応援しているとわかった所で、色々とアイディアやポリシーについて話し合っています。ただし、アメリカの場合は、住んでいる州や地域によってどちらの政党を応援しているかはっきりわかる場合が多いので、そのような時はすんなりと政治の話を進めています。私の住んでいるエリアはかなりリベラルなので、民主党を応援している人々が大多数。トランプ大統領の話が出たら、「何てアホな事ばかり言ってるんだ。。。」という具合に笑い話となります。 

また、アメリカの学生たちの政治問題に対する関心の高さは、日本人とは比べ物にならないと思います。もちろん日本でも学生の中には政治に興味があり、活発に活動をしている学生もいますが、アメリカでは、それが普通に生活の一部となっているのです。私にも二人の高校生が現地校に通っていますが、テレビの討論会の後には必ず何かしらのクラスでその内容について話し合っているようです。一番下の子が小学生の時でさえ、意見交換までいかないにしても、先生より選挙戦について話を聞いたという事もありました。それ程アメリカ人にとって政治や選挙の話というのは身近で、活発な意見交換がされているのです。 

逆に言えば、政治に興味がない、という話になった場合、日本人にとってはそこまで大事でないでしょうが、アメリカ人にしてみると、かなりの驚きとなるようです。その理由の一つとして、アメリカは大統領選であり、大統領個人に対しての一票ですが、日本では政党への投票。総理大臣を選ぶのは国民一人一人でなく、政党内での政治家による投票という違いが大きいと思います。アメリカ人は、自分の一票がダイレクトに響くので、選挙キャンペーン中は自分の応援している候補者に寄付をしたり、ボランティアをしたりと、色々活動しています。それも、学生などの若者がドアをノックして、候補者に投票するようお願いをしたりというのが当たり前です。意識の違いか、システムの違いか、あるいは両方なのか。アメリカに居るなら、いくら私のように市民でなく投票権がない場合でも、積極的に政治に対する意見が言えるように、自分の中でも勉強が必要だというのはいつも感じています。投票権がなくとも、医療や税金など政策や法令は直接関わる事なので、2020年の大統領選に関しても、アンテナを高くして見守っています。 

若者たちの政治問題に関する関わり方に戻りますが、長男、次男の通っている公立高校では、地域的にリベラルという事もあり、学校側からもアクションが出てきます。トランプ大統領が移民についてネガティブな政策を進めようとしたり、人種問題(特に今ではBlack Lives Matter)について、大統領が白人至上主義的なコメントを出そうものなら、理事長はすぐにコメント出し、「我が校では、何の差別もなく子供たちが自由に教育を得られるような場を提供し続けます!」とすぐに反論するかのようにホームページに公表しています。そのような環境もあってか、学生たちは自分たちで発信できる、政治的メッセージを公開するイベントがありました。夏休みの間にソーシャルディスタンス(2m離れてマスクをすること)を守って集い、高校の目の前の道路にペンキで”Black Lives Matter”と表示したのです。バスケ部やその顧問が中心となり、朝5時から夕方4時までかかったそうです。自分たちで出来る事を提案し、学校や市やの交渉も先生方のサポートを受けながら行ったそうです。またこれに限らず、高校生を主体とした友好的なデモ行進や、街中での集会などが数回開催され、ポリシーや政治的メッセージを込めた積極的な行動には、私も胸を打たれました。 

日本は長い間安全な国であり、健康保険の心配や銃規制などの問題は、一般的に考える必要がない状況です。一方、アメリカでは、それに加えて貧富の差や格差、人種問題が長い事言われ続けているため、一人一人が否応なしに政治について考えなければならない状況という事も言えるでしょう。しかし、アメリカの学生たちが、自分たちの将来や未来のアメリカという国を良くしたいと思うための意見交換や行動、活躍については、私も未来に希望を持つ事ができます。日本も素晴らしい国であることは確かですが、アメリカの学生たちのように、政治がもう少し身近に感じられるようになると、更に良い国に発展していけるのではないかと思っています。 

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