アメリカのピザとはどんなピザ?
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アメリカのピザとはどんなピザ?

アメリカの代表的な食事と言えば、ハンバーガーやピザなどが真っ先に思い浮かぶと思います。それでも、一言で「ピザ」と言っても、広大な土地柄による独特な文化などの影響で、地域による特徴的な違いがはっきりと表れます。日本人も大好きなピザですが、今回は、その代表的とも言えるピザの種類について説明していきます。 

  • シカゴスタイルピザ
  • ニューヨークスタイルピザ
  • カリフォルニアスタイルピザ
  • デトロイトスタイルピザ
  • チェーン店のピザ

【シカゴスタイルピザ】 

私がシカゴエリアに住んでいるからというのもありますが、最初はシカゴスタイルからのご紹介。シカゴはピザが有名な街で、ダウンタウンを歩けば必ずピザ屋が見つかるという程です。シカゴスタイルと言われているピザは、「ディープディッシュ」というスタイルで、分厚くエッジの高いフライパンを使って焼きます。厚さがあるため、普通の形のピザ以上にたっぷりのチーズ、トマトソース、ペパロニやイタリアンソーセージなどの具材を入れます。厚いパンピザで中身も多いので、オーブンで焼き上げまでに40分以上かかります。 

また「スタッフドピザ」というのもシカゴの代表的なピザです。「ディープディッシュ」より更に厚く、クラスとは固いタルトのようなパイ生地で出来ており、チーズとトマトソースのプールのようなスタイルです。こちらは焼き上がりに1時間程かかり、大抵お店の人がテーブルで小皿に取り分けてくれます。チーズが熱くトロトロ、またクラストは固めなので、最初の切り分けにはプロが切り出してくれる方が良いようです。 

シカゴ在住者が、シカゴに訪れるのが初めての人と一緒に食事をする際、一番最初にシカゴスタイルのピザのお店に連れて行く事がほとんどです。それ程おのスタイルのピザは美味しく、日本どころか、他のアメリカの街でも見かけない特徴的なピザなのです。出来上がりまで時間はかかりますが、その分前菜をつまみながら、ビールを飲んでゆっくり談笑したりできるのも、理由かもしれません。ちなみに、薄い生地のクラストのピザもシカゴでは有名でよく食べられますが、丸いピザでも縦横でピザを切り分け、四角い形のピザとなって食べ分けるのが常となっています。 

【ニューヨークスタイルピザ】 

ニューヨークスタイルは、手で形作られた薄くて大きいピザとなります。街中ではそれを8等分の三角形にカットしたスライスの形で切り売りしています。注文すると一人分だけオーブンで温め直して渡されます。時間をかけてゆっくり味わうというのでなく、気軽に入ってちょっとランチ、ちょっと小腹が空いたので食べよう、という具合のカジュアルさです。値段もニューヨークでもかなり手ごろなので、地元の人からビジネスマン、若いカップルまで様々な年齢の客層が気兼ねなく入れるようなお店が多いです。 

イタリア人移民の多いニューヨークですが、Wikipediaによると、アメリカで最初のピザはニューヨークのリトルイタリーから始まったようです。イタリアのピザも手ごねの生地を広げて焼くスタイルです。しかし、ニューヨークスタイルのピザは、本場イタリアのサイズより大きく(直径45㎝~60㎝)、カットしたスライスで売られています。トッピングは本場イタリアの様にシンプルで、トマトソース、モッツアレラチーズ、ドライオレガノを基本のチーズピザとし、他の種類としてはペパロニとイタリアンソーセージという3つの種類程度です。 

【カリフォルニアスタイルピザ】 

シカゴスタイル、ニューヨークスタイルのピザは歴史もあり、かなり評価も認知度も高いスタイルですが、カリフォルニアスタイルはちょっと違います。シカゴやニューヨークの人に言わせると、このスタイルはピザではないし、食べたくもない!と言われる程です。一人用サイズの丸いピザが標準型ですが、具材が伝統的なピザの食材とは異なります。基本的なトマトソースだけでなく、バーベキューソースやホワイトソースベースの選択があったりします。トッピングにも少々変わったパイナップルや卵、鶏肉やベーコンなど、伝統的なスタイルではありあせん。 

また、ソースなしのサラダ感覚のピザや、色彩豊かな野菜ピザにしてみたりと、これ!という形がないのです。恐らく、「ヘルシー」、「鮮やか」、「奇想天外」という枕詞が使えるのがカリフォルニアスタイルピザでしょう。でも、日本には変わり種のピザが多いので、日本人にとってはそこまで変わっているピザ、という認識はないかもしれません。 

【デトロイトスタイルピザ】 

デトロイトスタイルのピザは、長方形の厚いパン生地を使い、チーズで有名なウィスコンシン州産のブリックチーズをたっぷりと使います。チーズと具材を乗せた後の最後にトマトソースが上からかけられ、トッピングが見えなくなるほどです。エッジには、カリカリになったチーズの焦げ目が程よくついて食欲をそそります。 

最近かなり認知度が上がってきたようで、私の家の近所にもデトロイトスタイル専門のピザレストランがあります。全体的にちょっと小洒落たイメージのレストランが多いようで、ビールだけでなく、ワインと一緒に大人たちが集って数種類を分けて食べる、という様子です。スーパーの冷凍ピザのセクションでも見かけるようになってきました。ちなみに、我が家は主人がシカゴの人なので、「デトロイトスタイルなんか試せない!」として、私はまだ食べた事はありません。今度女子会でも出来るようになったら行きたいです! 

【チェーン店のピザ】 

どんなにピザ専門店やレストランがあっても、やはりチェーン店のピザ店舗はどこにでも存在します。日本でも有名なフランチャイズと言えば、ドミノピザとピザハット。この2店には面白い話があるので紹介します。 

ピザハットは、1958年カンサス州のカーニー兄弟によって設立されました。彼らのお店はアメリカ全土で展開されていきましたが、どうしてもニューヨークや東部地区の売り上げが伸びないと問題が出ました。当時、お店ではパンピザスタイルを出していましたが、地域的にイタリア移民の多い地区で薄い生地のピザ以外はピザではない!と言われていたためでした。それでは、東部地区だけ薄い生地のスタイルを売り出そうと考えもしましたが、チェーン店の良い所は「どこでも、いつでも同じ味で楽しめる」というのが売り。それならばという事で、初めてパン生地ピザと薄い生地の2種類の生地が選択できるスタイルを始めたのが、ピザハットが全米で成功した理由でした。 

ドミノピザも同じような時期に発展していき、デリバリー用にしっかりとした、保温性の高いカートンボックスを最初に利用したのはドミノピザでした。一時はピザハットのカーニー兄弟が買収しようとしていましたが、ドミノピザはその誘いを断りました。売り上げが落ちていく中、何か新しいアイディアをと考えた所で出てきたのが、30分以内の配達を約束し、30分を超えたらピザを無料にする!という革命的なキャンペーンを打ち立て、知名度と売り上げを一気に上げました。マーケティングの大成功例ですが、新しいアイディアは問題や悩みから解決策を見出すというので、とても面白い話と思いました。 

シカゴやニューヨークに住んでいると、チェーン店のピザを食べる機会は少ないかもしれません。しかし、やはりチェーン店のピザでも安い割にはそれなりの味を楽しめ、子供達のパーティーや学校でのイベントではよく利用されています。 

ピザと一言に行っても様々なスタイルがアメリカには存在し、上で紹介した以外にもギリシャスタイル、グリルピザ、ニューヘブンスタイル、セントルイススタイルなど、紹介しきれない種類のスタイルがアメリカには存在します。ピザで有名な街やお店に行く機会があったら、是非ともその美味しいピザを堪能してください。