アメリカに住むということ
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アメリカに住むということ

2020年の大統領選では、民主党のバイデン氏の勝利で大統領選挙に決着がつきました。日本は大統領制ではないですし、アメリカという国は州によって法令が違うため、選挙であっても投票数のカウントの仕方に違いが出ているのは想定範囲。ただ、日本の番組の記事などを読んでいると、ちょっとした目先の情報のみで、間違った見解を出している日本人のコメンテーターの意見が溢れているように見受けられました。単なる自分の感想や間違った情報を信じて意見を述べるというのでなく、他国からの情報の扱い方は慎重になるべきだし、まだ日本とアメリカとの間には色々な意味で距離があるのだなと感じました。 

そんな現状を踏まえつつ、今回は簡単にアメリカに住むとはどういう事か?という事を私見や個人的経験から少し述べていこうと思います。切り方によって多方面に広がる可能性のあるトピックなので、恐らく今後もこの話題についてはたくさん書けると思います。しかし、とりあえず今の状況で共有したい事を並べます。今回は、アメリカにまだ一度も行った事のない、でも興味がとてもある。旅行ならともかく住むとなると違うだろうがどうなるのか?仕事で行けるチャンスがあれば行きたい!という方向けの情報かと思います。

まず、アメリカは広いのか?もちろん広いです。多くの方が知っているように国内で時差があり、東部時間、中西部時間、山岳時間と西部時間に分かれているので、他地域の人と会議をする際は、必ずミーティング時間設定の際にどの時間帯で何時になるか、という具合に確認します。てっきりこちらの時間で設定されたかと思ったら、実は相手方の時間での打合せだったなんていう話は、日本から来たばかりの人が関わってくるとよく聞きます。また車社会という事もあって、車での日帰り出張が多い人は、一日平気で5時間とか運転して目的地に行きます。飛行機となると時差のおかげで時間を損したり得したりする場合があるので、それも考慮してフライトの時間を予約します。私自身の経験ですが、若い時は1,2時間の時差なんて全く問題ありませんでしたが、最近はシカゴからLAへの出張で時差2時間となると、結構一日の終わりに疲れが出てきます。時差ボケだけは慣れるというより、大変になる一方ですね。 

また、国土が広いという事もあって、夏休みによくキャンピングカーを借りて1~2週間ほどあちこち回る旅行をする家族も多いです。特に自然が美しい国立公園や公共の交通が不便な場所が目的地の場合は、時間があるなら、最初から車の方が楽という見方もあります。この醍醐味は日本での旅行以上の体験ができると思います。シカゴからニューヨークにいる親戚の家まで12時間車でかかるのですが、日本で言うと想像を絶するような距離のようですが、アメリカでは「どこか寄るの?それとも直接一気に行くの?」と普通に質問してきます。時間に余裕さえあれば、ナイアガラの滝や他の大都市にも寄れるようにハイウェイも通っているので、距離の感覚が違いますよね。 

話題を変えて仕事の話になりますが、アメリカで一流の会社で仕事を取るというのは、日本生まれの英語習得者ではかなり大変だと思います。英語云々という話でなく、まず一つのポジションにあらゆる人が応募してくるからです。「タフでないとアメリカでやっていけない」というのは確実に感じます。中途採用者の場合、職種にもよりますが、資格や学士号の保持は日本以上に意味を成します。私はMBAを取得していないので、職業紹介のエージェントからはMBAを取得した方が絶対良い仕事が取れる!と前に話を受けたこともありました。恐らく全てがそう当てはまるというのでなく、日本でそれなりの名の通った会社で働いていた人は、その経験をもってしても、資格やMBA保持者の方が断然優位に立つという事です。職務記述書にも「出来れば MBA取得者を希望」という具合に書いてあります。また、良いポジションや会社であるほど、ライバルがその会社のエリアの人だけでなく、アメリカ全土から応募が来ますし、中には他の国の居住者が応募してくる場合もあるからです。その中で、自分の経歴が求められている技術や経験を要しており、更にプラスアルファの何かを会社に提供できる!という人でないと、アメリカでは条件の良い仕事を取れないというのが現実です。 

日本人なのでアメリカにある日系の会社への選択もあると思いますが、思うところに日系企業で現地採用者の場合、給料や待遇面で良いと聞いた話かなり少数派です。日本から赴任された方はそれなりの待遇があると思います。しかし、現地採用者は、経歴にもよるのですが、同じ業務内容であれば、アメリカの企業の方が条件は断然良いです。また、日本生まれの人が、赴任でなく自分の意志でアメリカに来て日系企業に働いた場合、いわゆる日本企業の悪い文化は引き継いできるという印象を受けます。要するに、日本人の上司が残っていれば、先に帰るのは忍びない、などという文化です。本人が上手く線引きできれば問題ないとも思いますが、基本的に人の良い日本人は、申し訳ないという気持ちが働いてしまうんでしょうね。。。日本からの赴任者が会社のトップでなく、現地アメリカ人が上に立って会社を回しているような日本企業ですと、かなり違う印象ではあります。最近では、特にIT企業ですと、アメリカ現地で日本語を話せる採用も増えてきているのですが、まだまだそのような状況は全ての業界に浸透していないので、アメリカに居て日本語が有利に働くという状況は希薄だと思います。 

よって、私がお勧めするのは、グローバルな日系企業に就職し、アメリカに海外赴任を希望する。あるいは、日本にある外資系で働いて、米国本社のポジションに移る。その方が断然簡単ですし、給料や生活、またビザなどの面で心配はありません。3~5年という短い期間でなく、10年など長期で住みたい場合は、来てから色々方法を模索すれば可能性は十分あります。周りでもそのような方は結構います。逆に、最初にグリーンカードを取得して、それからアメリカ現地で仕事を探すというのは、手に職がない限り傍から見ていて就職は大変そうですし、アメリカの大学出てから就職という方向性は、可能ですが就業経験がない場合難しそうです。英語は確実に出来る、学生自体にインターンをこなしている、企業の方がこの外国人をビザのサポートをしてまで欲している、という人材でない限り就職は難しそうに思えます。ただ、自分が経験していない分見えていない事もあると思いますし、何事も無理でないですからね。 

仕事などの事を取っ払って、簡単にアメリカに住む事と日本に住む事の違いとして言えるのは、日本に居ると、やはり楽であるという事です。言葉という話でなく、アメリカには人種問題、貧困問題、銃の規制、治安の問題、エリアによる学校教育の差など、日本で考えなくて良い大きな問題が多いからです。そのような問題を考えなくて住めるという日本は、生きていて楽だと思いました。 

もちろん日本にあってアメリカにない問題も存在します。個性の自由がその第一です。自分の好きな事がはっきり見えている人ほど、アメリカは住みやすい国だと思います。どんな環境でも必ずフィットする場所が見つかりますし、自由な国アメリカというのは、責任を個人で負う分、自分の自由を得られるのです。日本でも本人が気にしなければ大丈夫でしょうが、自分が希望している環境が得られないという事は多々あるでしょう。 

私からの母親視点でのポイントとしては、やはり子供の将来への選択肢がアメリカで生活している方が多いように思われます。日本では受験戦争として、高校や大学のみでなく中学や小学校からの受験が都市部では普通に存在しています。全てが受験のためだけの勉強で人生の無駄になるとは思いませんが、子供の成長には人との交流、スポーツや趣味への没頭、また何もせずぼーっとする時間も必要であるように感じていました。日本で子供の成功を考えていたら、大事な時期は受験勉強ばかりで、多くの子が体験する車の運転やパーティーへの参加など、人生を楽しく生きるという方法は、ある一時期難しいように思えました。 

アメリカでは、学校が合わずに辞めてしまっても、ホームスクールという方法やプライベートのシステムを使って卒業と同レベルの単位を取る事も出来ます。もちろん、その方法を選んでから大学へ行くことも可能です。大検のようなシステムに近いと思いますが、難しい試験というシステムではありません。大学も、入ってからが厳しいという現実もありますが、4年で卒業しなくても留年という意識はありません。多くは5月や6月に卒業ですが、日本のように春に一斉卒業というシステムでなく、学校がセメスターやクオーター制であるため、単位を取り終えた区切りの時期に卒業という具合です。学部で受験という方法でないので、ある程度行きたい学部を決めての入学であっても、途中で他の学部に移る事は可能です。大学に入る前にギャップイヤーと言って1年間他にやりたい事をする、という選択肢もあります。自分にしっかりとした目標や意思が必要かもしれませんが、逆に言えばやる事をしっかりしていれば、自由自在に自分の道を選べて人生設計を組み立てられるのです。 

何が自分に合った生き方に近いのか?という質問を自分自身にすべきですが、受け身でいてもある程度やる事をやっていれば間違いのない人生を送れる日本。一方で、夢や成し遂げたい事がはっきりしている、また、はっきりしていなくてもすぐに決める必要性はない中で、行動に責任を持って自立した人生を送る事ができるアメリカ。この違いを理解して、その中でアメリカでの生活が自分に合うと思える人は、確実にハマると思います。それこそ水を得た魚という表現が合うように自由を楽しめると思います。その判断が難しいと思う人は、高校や大学だけアメリカの学校に入る、また日本で外資系に勤めて赴任や海外出張で赴く、という生活の仕方でもアメリカ生活は十分楽しめると思います。何はともあれ、自分が何をしたいかはっきりしている人が、アメリカで充実した生活を送れるのではないでしょうか。 

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