アメリカの日本食レストランについて
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アメリカの日本食レストランについて

日本食が世界中で人気が出てからしばらく経っています。ウィキペディアによると、世界の三大料理は中華料理、フランス料理、トルコ料理とのことで日本食は入っていませんが、味のみでなく誰もが認める美しさと繊細さで、日本食レストランはどこでも大人気です。

アメリカでの日本食ブームは、10年は続いていると思います。それこそ以前は、はしの使い方に始まり、生ものや海苔、魚介類に抵抗がある人もかなりいたのですが、今では子供たちが同士で日本食レストランでお寿司を食べるということも珍しくははありません。それこそ、以前11月の感謝祭のパーティ―へ友人宅に赴いた際、大人のスナックとして鉄火巻き、ウナギのいなり、太巻きなどを作って持って行ったのですが、大半は大人たちが食べる前に10人程度いた子供たちが全て食べてしまいました! 

アメリカにある日本食レストランは、日本人料理人がいる場合は、おおむね高級店となります。他のアジア人が経営している場合は、日本食のみでなく、中華、タイ、韓国料理と、取り合えず代表的なアジア料理もメニューに入っている場合がほとんどです。値段も比較的カジュアルな設定です。とんかつや照り焼き、うどんなどは安めの値段設定で$10程。その次に天ぷらやお寿司・刺身のセットと値段は上がっていきます。寿司と照り焼き、酢の物やお味噌汁がついたコンビネーションセットが多くのレストランにはあります。私も学生の頃アルバイトしていたのでわかりますが、この弁当スタイルは色々な物が食べられるので、とても人気があります。もちろんアラカルトで刺身、巻物、握りのお寿司がありますが、値段は一気に上がります。 

しかし、アメリカの日本食レストランとなると、特に行ったことがある人ならわかると思いますが、日本では見られないさまざまな巻きの種類が特徴的です。代表的なものでは、アボカド、かにかま、キュウリを具にし、酢飯を外側にして巻いたカリフォルニアロールは、皆さんも知っていると思います。それ以外にもメニューを見ているだけで楽しくなるほど種類が豊富です。ウナギと天ぷらの揚げ玉、それをアボカドの薄切りで巻いたドラゴンロール。マヨネーズにホットソースを加え、それを鉄火巻きに加えたスパイシーツナロール。サーモンとクリームチーズを合わせたフィラデルフィアロールなど、日本人には一瞬ぎょっ!とするようなメニューもあります。それでも色どりが綺麗で美味しい巻き物は、大変人気があります。 

日本人の料理人やオーナーが日本人のレストランの場合、日本食やお寿司に誇りを持っているのでしょう、この多種多様なちょっとした“邪道”巻きはあまりメニューに載せられていません。カリフォルニアロールや、スパイシーな巻き物なら、やはり人気があるのでギリギリある場合がありますが、名前だけで想像できない物は出していません。その代わり、創作料理や割烹料理、和食の極みが注文できます。小皿の種類や盛り付け方まで考えられた繊細な芸術品を前にすると、見た目と舌で堪能させられ、至福の時間が楽しめます。そのようなゆとりの空間は、一般的な日本食レストランでは体感できません。やはり日本人の料理人、あるいはオーナーが日本人であるレストランのみに限られます。 

とは言っても、私もアレンジされた“邪道”巻きは好きなのですよ!特に日本にいた時は逆に食べられなかったということもあり、アメリカに出張で来てた時は、必ず日本食レストランに行って、アメリカでしか食べられないような巻き物を注文していました。先ほども言いましたが、このようなレストランは日本人以外のアジア人が経営しているので、日本人の私がお店に入ると結構注目されます。「日本人に私たちの日本食は合うのか?」みたいな。特にお寿司を頼むと、食べる際の反応は必ずチェックされます。

私が昔学生時代にアルバイトしていた日本食レストランは、上海人がオーナーのちょっとお洒落なレストランでした。寿司のカウンターに普通にメキシコ人はいますが、中国人シェフもいました。(メキシコ人はどのシカゴエリアのレストランでも真面目に働いています!)そこで2年ほど働いていたのでよくこの中国人シェフと話していましたが、やはりお客さんから日本人に見られるようにあまり会話はしない、と言っていました。また、お客で日本人っぽい人が入ると緊張すると言っていました。彼らは「神風」や「日本魂」などと書かれたはベタなはちまきをして、日本人になりきっていました。それほど日本人が働いている日本食レストランというのは、ブランド力があるとも言えます。西海岸では日本語が普通に通用するレストランも多いですが、シカゴの中西部やNYの東海岸では特にその傾向があると思います。 

恐らく、アメリカにある多くの日本食レストランは、ザ・和食という概念でなく、アメリカ人好みにテイストを変えていき、別の日本食に発展したと思います。だから日本で味わえない日本食になっているという特徴が見いだせます。せっかくのお寿司に味を加えて鮮魚の味が楽しめないという意見もあるでしょう。生粋の日本食ではないですが、それでもアメリカンなお寿司は別物として楽しめる食事です。邪道は邪道なので「私はドラゴンロールが好きだ!」と胸を張って言えない私がいるのですが、それでも美味しいと思うので、アメリカに来た際には是非変わった巻き寿司をお楽しみください。 

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