アメリカでの仕事探しと紹介制度
Home » 仕事  »  アメリカでの仕事探しと紹介制度
アメリカでの仕事探しと紹介制度

以前とは随分と状況も変化してきていますが、日本で大企業に勤められた場合、終身雇用を希望する人は多いと思います。会社の経営や仕事内容、待遇や給与に問題さえなければ、一つの会社や系列会社で働き続ける方もいるのでないでしょうか?その点、アメリカでは状況が全く違います。同じ会社内でも、自分で希望を出して違うポジションに移ったり、違い会社や業界に進んでキャリアを積み上げていく人がほとんどです。更に言うと、今までの仕事内容とは全く関係のないキャリアを見つけて進んでいく人も多く見られます。それも1度や2度という事でなく、自分がやりたい事や希望の働き方を求めて、何度も転職やキャリアチェンジをする人もいます。アメリカにおいて、終身雇用という働き方は、会社側でも個人としても、認識度や期待値はとても低いです。 

では、アメリカでは一体どうやって次の職やキャリアを探しているのか?以前『外資系企業の中途採用面接とは』でも紹介していますが、日本と同じようにエージェントとなる就職斡旋業社を介するか、自分で求人サイトを通して職を探し、応募するという方法がまず挙げられます。ただ、アメリカでは、この方法よりもよく使われる方法が他にもあります。それは、” Employee Referral(リファラル)” という社員からの紹介制度です。 

ここで社員紹介制度とは何かを説明します。この制度は、人事が社内のリソースを使って、知り合いでベストマッチの人材紹介を受け、そこから面接がスタートするという方法です。要するに、コネクション(コネ)ですね。こちらの方法ですと、就職率は自分から申し込んだ場合より確実に高くなります。外資系就活サイトでもあるLinkedInの調べによると、80%の中途採用は社員の紹介からだそうです。 

この紹介制度が高い確率で活用されている理由の一つに、人材採用には高額の費用がかかるという事実です。まず、エージェントを介すると、登録者に費用は発生する事は少ないですが、採用側の会社は多額の費用をエージェントい渡しています。また、アメリカの会社では、通常採用最終段階で職歴や学歴、また犯罪履歴がないかのバックグラウンドチェックがあります。社員からの紹介であれば、そのチェックで間違いが見つかるという事はほぼありません。このバックグラウンドチェックでもし致命的な問題が見つかった場合、数々の面接や難しい試験を通過しても、採用されることはないでしょう。よって、また一から採用をかけるので、時間とお金の無駄に繋がります。社員を介しての方が、ゼロから探すより適材適所が見つかるようです。 

更に、この紹介制度に重きを置いている企業の場合、紹介された人が採用された際には、社員である紹介者に金銭的な処遇を与える場合もあります。私が日本で外資系に勤めていた際、この紹介制度があったのですが、確か珍しい職種や女性の紹介などによって、その処遇が10万円から30万円程度まであったように記憶しています。一生懸命探す必要はないですが、もし知り合いで、それも適格な人材や経歴がある人を紹介し、その人が採用されるとなれば、会社、紹介者、当人というWin-Win-Winの関係が出来る仕組みなのです。それこそ、私が勤めていたこの外資の人事の話ですが、社員の紹介者もなく、就職斡旋のエージェントも介さない場合の中途採用者の就職率は、100人面接した中でやっと一人受かるかどうかという、合格率1%の狭き門という事でした。という事は、やはりリファラーを介した方が、会社側の時間的、金銭的負担が減るのがわかります。 

この紹介制度は、金銭的処遇は別として、多くの会社で取り入れています。特に大企業であればある程、社員の知り合いを優先的に採用しているようです。大学や大学院という横の繋がりや、前職からの繋がりという具合に、以前からの知り合いが、違う会社でまた一緒に仕事をするという事はよくあります。そこにネガティブな面はないのか?という疑問も湧きますが、採用部が今でもリファラル制度を重要視しているという事は、ポジティブなポイントの方が大きいのでしょう。 

ただ、私の経験から言うと、疑問を抱くような人材も、時には採用されている時があります。全く的外れな人材という訳ではないですが、「なぜこの人がここに?」とか「なぜここんな仕事任せられているの?」という経験は、数は少ないものの何度かあります。周りに話を聞くと、採用マネージャーの直接の知り合いであった、というケースがほぼ当てはまります。そこで皆で「なるほどね!」という具合です。大きな問題さえなければ、何をするという事はありませんが、とにかく皆「私の仕事の邪魔だけはしないでくれ。。。」という具合でした。大人の対応という事ですかね。 

かく言う私も、前々職のマネージャーに新しい仕事を見つけているため、推薦者となってもらうための依頼メールを出していました。そしたら運よく、彼女の会社で丁度私に合う仕事があるがやってみないか?とお誘いを頂きました。仕事内容も面白そうですし、会社自体もとても良い会社なため、現在相手方と話しを進めている段階です。 

ここで最後に私が言いたいのは、日本で「コネ」と言うと、少々ネガティブなイメージが先行するように感じます。しかし、コネが良くない方向に向かう場合は稀で、多くは仕事内容を知っている社員が、ある人物の人柄と経歴を知っていて、会社のカルチャーや職務がベストマッチだと思える人を紹介するという流れなので、紹介制度はとても良い制度だと思います。人とのコミュニケーションを大切にするよう心掛け、困った際は人に頼るという、普段から人間としてあるべき行動をしていれば、それなりに自分の進みたい方向に進みやすいのではないかと思いました。 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です