アメリカの高校生が受ける学校教育
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アメリカの高校生が受ける学校教育

我が家には、アメリカの現地校に通う高校生の息子が2人います。そこで見えてくるのが、アメリカの高校生が受ける授業は、日本の授業と明らかに違うという事です。5年前まで日本に住んでいたので、日本のママ友に子供たちの高校の様子を聞いたり、自分の高校自体の事を思い出しての比較ですが、どこからどう見ても、アメリカの高校の方に軍配が上がります。選択科目も豊富で、面白そうな授業が多く、実践的な科目ばかり目につきます。今回は、自分の子供達の経験を通し、アメリカの高校生が受ける授業内容を紹介したいと思います。 

  • アメリカの高校システム
  • 高校は義務教育
  • マグネットスクールとは?
  • 学年や学級の区切りがない?
  • 受講クラスの選択方法
  • 大学の単位が取得可能
  • 興味が引かれる数々のクラス内容
  • 最後に

【アメリカの高校システム】 

システムや地域によっても多少違いはありますが、通常アメリカの高校は4年生制度。小学1年生から高校最後までの12年間をグレード1~12と表します。また、日本で言う中学3年生が、高校1年生のフレッシュマン(9thグレード)。そこから始まり、ソフモア(10th)、ジュニア(11th)、シニア(12th)と名称が付いています。人に聞かれた場合は、「I am a Junior(僕は高校3年生だよ)」と言います。大学も同じ名称なので、人によっては「I am a Sophomore in college(大学の2年生だよ)」と言う場合もあります。 

【高校は義務教育】 

日本では中学3年生までが義務教育ですが、アメリカでは高校も義務教育に含まれます。中学卒業後、そのまま居住している地域の高校に通うことになり、入学試験はありません。よって、高校に限りませんが、子供の教育のために良い地域(=教育に力を入れているエリア、意識が高いエリア)に引っ越しをするというのは、とても納得のいく話です。もちろん私立の高校もありますが、数は少なく、レベルは良いものの、公立校とは比較にならない程の高い授業料が請求されます。 

【マグネットスクールとは?】

 公立学校でも、試験を受けてレベルの高い生徒を集めるマグネットスクールというのもあります。小学校や中学校でもマグネットスクールはあるのですが、そちらはアート、理数系、文系など、特別な科目に強い子供達が授業を受ける、という印象があります。もちろんマグネットスクールにも色々あるのですが、高校の場合は日本のように受験をし、公立高校の基本的な費用で優秀な生徒が集まるため、とても狭き門となっています。 

【学年や学級の区切りがない?】 

アメリカの高校生ドラマなどを見ていると、学校の廊下に各人のロッカーがあり、休み時間ごとに教室を出て、次の授業の教室に急いでいる姿をよく目にすると思います。これは通常の日常的な高校生(または中学生)の学校生活を反映しています。日本の様に「学級クラス」や「学年ごと」という区切りや概念がないため、授業ごとに教室を移動します。なので、個人のロッカーが割与えられ、そこに荷物を置いておくのです。では、何故クラスや学年の違いの概念がないのでしょうか?それは、受講クラスは半年前から選択し、自分で責任を持って決定します。よって、同じ学年のクラスごとに授業を連続して受けるというシステムでないのです。 

【受講クラスの選択方法】 

それでは、何を基準に受講クラスの選択をするかと言うと、基本的に州や地域の取り決めにより、高校卒業要件として必修科目や卒業必要単位数が決められています。学年ごとに取得クラスの選択が自動的に決まっていたり、前の年の成績によっては、教科の先生方が翌年に取るべきクラスを推薦してくれたりします。また、担任とは少し違いますが、生徒には4年間同じカウンセラーが付き、授業選択の際にアドバイスをしてくれたりもします。よって、普通の事をしていれば、カウンセラーも管理をしてくれているので、卒業間際で単位が少なく卒業できない!というミスは妨げられます。 

ただし、スポーツで奨学金を受け大学に進みたいと考える人は、また別にNCAA(全米大学体育協会)要項というのがあります。高校を卒業はできる単位はあるが、NCAAの必須単位をクリアしなくてはスポーツ奨学金がもらえなくなったりするのです。また、アイビーリーグの大学や、他のトップレベルの大学を目指している生徒も、行きたい大学や学部によっては、特定のクラスを受講していなくては受けられないという場合もあります。よって、受講クラスの選択には、親と共に先を十分見据えて熟考する必要があります。 

【大学の単位が取得可能】 

マグネットスクールとは違い、普通の公立高校では様々なレベルの違う生徒が沢山いるため、数学の成績が良い場合は上のクラスへ飛び級したりすることが可能です。また、我が子のように日本語などの第二か国語が使いこなせる子は、APクラスで授業を受ける、あるいはその科目のAPテストを受け、好成績なら大学の単位に変換できる単位数を取得する事もできます。全ての大学がAPテストの結果を大学の単位に変換してくれるわけでないので、そこもまた少々面倒な所になっています。また、APクラス以外にも、実際の大学の授業を高校生のうちに受ける事も可能です。こちらはかなり優秀で努力が出来る生徒などがチャレンジしています。なぜ高校生の間にAPテストや大学の単位を取るかと言うと、もちろん大学入学にも有利に働きますが、何よりアメリカの大学費用が高額なため、高校生の間に安く大学の単位が取れるというのは、とても魅力的なのです。 

【興味が引かれる数々の授業】 

このような背景により、ある程度基本的な科目のクラスメイトは同学年の子が多い場合がありますが、自由に選択できる科目では、学年の壁は存在せず、9年生と12年生が一緒に同じ授業を受けたりしています。アメリカでは、日本のような縦社会を作り出さないシステムが、若い頃から成り立っているのです。 

それでは、自由に選択でき日本の高校では見ないような授業とは、どの様なクラスが挙げられるでしょうか?我が息子たちの高校には「コース・セレクション・ガイド」と呼ばれる受講科目のリストがあります。こちらは学校のウェッブサイトで確認でき、科目名と簡単な内容、また受講すると何単位取れるかが書かれています。受講する場合、科目によっては「他の○○科目を受けてからのみ受けられる」、あるいは「11年生以上のみ受講可能」というような受講に条件がある科目もあります。それでも調べてみたところ、なんと163科目ものクラスを提供していました!4,000人近くが通うかなりのマンモス校なのですが、本当に面白そうな授業が沢山ありました。 

まず、外国語という枠だけでも、スペイン語、フランス語、中国語、日本語、ドイツ語、ラテン語、そして手話という7科目が4年間続けて勉強できるレベルのクラスが用意されていました。他には、大学に進学する人ばかりではないので、車の修理工ですぐに仕事が出来るようなメカニックのクラス。これに関しては人気が高いのか、実際に修理が出来るような施設も学校に備えられています。建築学のクラスでは、実際に一から家を授業で建て、家を必要としている人々に寄付をするような素晴らしいシステムも出来ています。社会貢献の一環として回っているのです。 

そして、日本では経済学、経営学は大学で学べるものの、高校生ではあまり響くようなクラスは見当たりません。更には、生きていく上でとても重要なお金に関わる授業がないと言われています。しかし、アメリカでは、私も受講したくなるような金融関連の授業が、用意されています。会計のクラスやパーソナル・ファイナンス、基本的な金融知識や用語を学ぶクラスなど、大人の世界に無理なく入っていけるような知識を得る事も可能です。 

もちろんIT関連のクラスも想像通り豊富で、プログラミングやコーディング、Webデザインやグラフィックス・デザインのクラスもあります。音楽や楽器別の科目は複数揃い、様々なアートやペアレンティングという親になるための知識を学ぶ科目まで揃っていました。地域的に良い環境に住んでいるという事もあり、公立高校と言えどレベルの高い高校なのですが、とにかくこんな公立高校がアメリカなのか!と最初はかなり驚きました。 

【最後に】 

高校生最後の年となった長男は、カメラのクラスや陶磁器を手で作成するクラス、武道のクラスなど比較的リラックスして取れるクラスと共に、統計学のAPクラス、経済学、起業家精神を学ぶクラスなど難易度の高いクラスと混ぜてスケジュールを組みました。次男は高校2年目のため、必須科目が多いなりにも、ビジネス関連のクラスをいくつか取りつつ、Webデザインのクラスなど色々と混ぜて取っています。次男の話によると、本日の授業はまだリモートながら、TEDx Talksに出た経験のある人をゲストスピーカーに迎えて授業が行われ、凄く面白かった!と興奮気味に話してくれました。 

私の知らない所で日本の高校も進化しているとは思いますが、どう考えてもアメリカの高校の科目の方が断然子供にとって面白く、大人になる準備に必要な知識が得られる勉強が出来ていると思います。それも大学に行きたい人にはアカデミックレベルの高い科目、また大学に行かず社会に出る生徒も、自分は何が得意で好きなのか見極められ、すぐに役に立つ科目が揃っています。実践的な力を普通の公立高校のクラスで学べるというのは、ダイバーシティーや多様性が加味されたアメリカの高校ならでわだと思いました。 

18歳が大人となされるアメリカでは、高校時に「生徒自身が自分で動く」ようシステム的にも出来ており、子供にとっては随分と大変な印象も受けますが、卒業後に大人の階段を躊躇なく登れるようになっています。そのため高校自体を卒業できない生徒も日本と違って出てくるのですが、私や私の子供達の経験からすると、やはりアメリカの高校は面白い!につきます。 

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