育児参加率の高いアメリカのパパさん達
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育児参加率の高いアメリカのパパさん達

男尊女卑、女性軽視や差別など、漢字で書くと少し厳しく見えますよね。しかし、現代社会では、今でも「女性はこうあるべき」というような決めつけが、未だに存在していると感じる女性は多いでしょう。 

2021年2月23日に世界銀行が発表した、経済的な権利をめぐる男女格差を調査した年次報告書によると、日本の順位は190カ国・80地域のうち80位タイに低下したそうです(昨年は74位タイ)。居住地の選択や旅行などの「移動」では、男性と女性に差はなく満点ですが、就職や待遇面などのへの対応を測る「職場」や「支払い」の項目では、評価は半分50にとどまっているそうです。 

個人的な意見としては、私が女性という事で嫌な気持ちになった事はあまりないのですが、母親になると、意識の中で、子育て作業の大部分は自分がしなくてはならない、というプレッシャーを感じていました。 

それは、自分が主人より収入的に稼いでいようが、時間的に制限があろうが、育児の大半は女性がやるべき、という潜在的な認識が自分の中にあり、更には社会的プレッシャーを知らないうちに受け取っていたように思います。もちろん私のように、自分で勝手に感じていたという人もいるかもしれませんし、実際にパートナーや周りから、そのように見られていた、言われていたなど色々あると思います。 

しかし!アメリカでは女性が子育ての大半をするべきという意見は少数派で、男女共に協力するのが当たり前。男性の育児参加率は、日本と比較しても圧倒的に高いです。それは、アメリカでの女性の社会進出率(仕事をしている)が日本より高い、あるいはアメリカの方が日本より仕事から定時に帰れる可能性が高いなど、環境や状況的要因は確実にあります。それでも、多くの男性が育児に積極的に参加している姿を見ていると、日本とは随分違うなぁと感じてしまうのは必然です。 

では、アメリカにいるパパさんたちは、どのように育児や子育てに参加しているか?という実際の例を上げていきたいと思います。我が家のアメリカでの生活開始が、小学生からなので、乳児や未就学児に関する事はあまり記載していないので、どうぞご理解ください。 

  • 学校への送迎
  • 習い事への送迎
  • 習い事への参加、コーチ
  • 学校・地域活動、PTA、個人面談
  • お誕生日会のプランニングや実行
  • 最後に

【学校への送迎】 

アメリカでは、ある程度の年齢にならない限り、一人で家に留守番をさせたり、外を歩かせるという事が禁止されている、あるいはそのような意識がありません。各州によって違うのですが、イリノイ州は、13歳以下であると、一人で子供を家に残す事が禁止されています。また、その流れで、学校に登校する際も、親が付き添う事が大多数となります。スクールバスや車での送迎となった場合は、状況が理解できると思いますが、歩いて行ける範囲の学校であっても、安全面と法令の関係で4年生ぐらいまでは必ず親が一緒に歩いて学校に行きます。 

朝から一緒に学校まで行き、先生が外でお出迎えをしているところで「さよなら」となります。学校が終わる3時半ぐらいになると、親たちは、学校の一定の場所に集まり、先生が生徒の親、あるいは生徒と一緒に帰る人がいるのを確認して、子供と外で「さよなら」をします。もしこの光景が日本で見られるのなら、恐らく90%以上は母親や祖母達が外で待っている事でしょう。ところが、私のエリアの学校では、30%程はパパさん達のお迎えでした。 

まず、この状況ですが、3時半に迎えに来られるという事実も凄いとは思います。実は、アメリカ人の親達も、「この時間帯に一体どんな人が迎えに来られるのだろう?」と疑問に思ったりもしています。私が学校のママ友達に「皆さん、どうやったらこんな早い時間帯に迎えに来られるんですかね?特に父親が」と聞いてみた事がありました。これには、何人もの人が「私もとっても疑問なの!」という返答が帰ってきました(笑)。 

実は、住んでいる地域にもよると思うのですが、私の地域には有名な大学が数校近くにあり、お迎えに来られる人々は、その大学教授や関係者、他には自営業の方、自宅で仕事ができる人、朝早く仕事に行き、午後3時には帰ってくる人という具合に、かなりフレキシブルなスケジュールを組める人が多かったです。それでも多くのパパさん達がお子さんのお迎えに来ているのを見ると、ほっこりした気持ちになりました。 

【習い事への送迎】

 学校への送迎にも近いですが、『アメリカの子供の習い事事情』にも書いた通り、子供が何か習い事を始める場合、親は必ずその送迎の事も考慮して、可能かどうかの選択をしスケジュールを組みます。何故なら、車での送迎がほぼ必須となるからです。学校終了後に、そのまま他の団体が子供達にアフタースクールやプログラムを提供している学校もありますが、もっと別のプログラムや水泳、アイスホッケーなど開催場所が限定される場合、車での送迎が必須となります。 

よって、大抵親はそのまま子供の習い事の様子を見ながら待つか、他の保護者と話したり、買い物に行ったりします。その習い事が特にスポーツ関連であると、送迎はほぼパパさんの役割です。また年齢が上がると、半数以上はパパさん達の送迎となります。 

競技に対する子供への期待や熱量は、日本に比べアメリカではかなり高く熱いものです。特に習い事のスポーツが、アメリカのメジャーなスポーツであるバスケットボール、野球、フットボールなどとなると、パパさん達は必ず練習後にコーチと話をし、子供は何をすべきか、どうしたらもっと上手になれるかなどと話をしたり、コーチとコミュニケーションをとるために、しっかりと側にいます。そのような関連もあり、子供が小学生の中学年頃になると、パパさんの送迎率が一気に上がります。 

【習い事への参加、コーチ】 

日本でも、地域密着の少年野球やサッカーチームなどは、保護者であるパパさん達が率先してコーチとなって運営されている場合があります。アメリカでも同じように、子供が興味のある、あるいは自分が子供に習わせたいスポーツや競技の場合、パパさん達はコーチとなって子供と一緒の時間を過ごそうとします。自分がそのスポーツの経験がない場合でも、子供がまだ小さい場合は、まるで学校の先生のように、スポーツのルールやスポーツ精神などについて、自分の子供以外にも正しい教育を行おうと努力しています。 

たとえコーチでないとしても、試合の観戦には遅くなっても見に来たり、一生懸命子供をサポートしている姿が見られます。子供の成長や活躍を見たいというのはもちろんですが、自分もイベント観戦を楽しみにされています。パパさん達の参加率はかなり高く、一試合でも見逃す事があろうなら、とても残念がっています。 

日本ではそのようなパパさん達に多く出会っていないからか、最初はその光景に驚きを隠せませんでした。しかし、母親参加率が高い日本であれ、子供達を応援して楽しむ母達の気持ちは、父側にだってあるはずです。それがアメリカで顕著に見られたというので、逆に日本では父達がそこまで参加できていないのは、仕事などの環境のせいなのか?それとも意識の違いなのか?と少し考えてしまいました。 

【学校・地域活動、PTA、個人面談】

 アメリカにはボランティア活動や学校・地域の自発的な活動がたくさんあります。個人の家で眠っているおもちゃ、日持ちのする食べ物、古本など、学校や地域の団体へ寄付をしたり、その品々を必要な人達に配布したりしています。その活動はボランティアとして、学校や地域の連絡網を通し、特に子供がいる家庭にはよく連絡が入ります。昼間だけでなく夜や週末と多様な活動時間なのですが、パパさん達もよくお子さんと一緒に参加をしています。 

PTA活動もそうですが、母親ばかりの活躍が目立つ日本の学校とは違います。実際に動いて活動をするイベントなどの場合、子供が小さいと活動を時々手伝わせるも、後は学校で遊ばせたりしてます。また、子供が中学生や高校生になると、最初から最後まで一緒に仕事している姿を頻繁に見かけます。 

PTAや学校・地域活動にしても、恐らく、パパさんご本人もその活動自体に興味があり、サポートしたいという心情から参加していると思います。しかし、子供達が小さい場合は、自分が何かの手助けになる事を率先的にしている姿を見せて自ら教育しているようです。「こうして地域は皆で作るのだよ。」と説明する良い機会になっていると思います。 

アメリカの学校にも、日本のように親と教師の個人面談 や三者面談が、秋と春に2回開催されます。こちらも恐らく日本では母親のみの参加が大多数を占めていると思いますが、アメリカのパパさん達は積極的に参加しています。子供の年齢に関わらず、また何か問題を抱えているという場合でなくても、パパさん達は母達と一緒になって先生と面談をしています。 

中学生になると、授業毎に先生が異なるのが通常なので、一人の先生につき約10分ほどで回っていきます。私の地域の中学、高校の面談は、学校から公開されるサイト上で決まった時間内で面談の時間を登録するのですが、結局のところ、どんなにスケジュール調整がうまくいっても2時間は裕にかかります。子供が二人同じ学校だと、半日かかるかなり大変なイベントです。それでも、パパさん達がしっかり一緒に教室事に先生を回っていくのは、やはり一般的にパパさん達が子供や教育に関心があるからか、あるいは、私が偶然そのような教育熱心な親が住んでいる地域に住んでいるからか、考えてしまうほどです。 

【お誕生日会のプランニングや実行】 

アメリカでの子供達のお誕生日会は、日本のような子供のお友だちやママ友を呼んで、皆で会食やお茶というスタイルとは全く違います。年齢が小さいと特にですが、イベントの規模自体が大きいのです。まずお誘いは、『Evite』のようなアプリなどデジタルな方法で招待状を送ります。通常は「〇〇のお誕生日会をXXXで行います。」となり、時間と場所が示されています。参加かどうかの返信もそのツールを使って行われます。時にはタイムテーブルも出てるほど、詳細にプランニングされています。 

そんなお誕生日会が普通に行われているので、ゲームセンター、ボーリング場、トランポリン場、公民館など、至る所でお誕生日会用のパッケージが売り出されてます。だから、子供の親は、単に美味しい食べ物とケーキを用意するだけでなく、子供のイベント実行委員とならなくてはなりません。 

もし同じようなスタイルで、日本でもお誕生日会が開催されるとしたら、恐らく母達が計画・実行を行うでしょう。しかし、ここでもパパさん達は張り切って、年に一度の我が子のために、プランニングに参加しています。お誕生日会中も、子供達が楽しく参加できているか?食べ物、飲み物は足りているか?など細かい所まで確認しています。アメリカでも、子供の誕生日会ごときに、時間や費用をかけすぎている!という声は多少なりとも出ているのですが、どのようなスタイルのお誕生日会であろうと、ママ友とその子供達だけのお食事会という形式でなく、パパさん達が一生懸命に育児参加しているのです。 

【最後に】 

ここまで色々と書いてきた所でやはり思うのは、アメリカ人 V.S. 日本人というのでなく、アメリカでは、日本よりも父親が育児に参加しやすい環境があるのでないか?という違いです。日本人の赴任者も、母達に聞くところによると、アメリカに来てから一気に子供達のイベント参加率が上がると聞きます。それは、日本のように夜遅くまで残業しなくて良い、仕事の付き合いで帰りが遅くなる機会が少ない。車社会という事もあり、パパさん達が車を出して、子供達や家族と一緒にイベント参加率が増える、と言う具合です。 

そうなると、一様に「アメリカ人だから」、「日本人だから」、と人種や意識によって子育てへの参加状況が変わってくるという事も言えないようです。しかし、個人的な印象としては、アメリカにいるパパさん達は、子育てをきちんと自分の仕事と認識し、子供の成長過程を楽しみたいという意識が強い人が多いように思えます。 

日本であれ、アメリカであれ、母達は多くの場合、仕事をしていたとしても育児に専念する時間は長いです。それをサポートしたい、一緒に子育てをしたいと思うパパさん達が多くいる。また、仕事や環境の状態も、それが可能にできるというのがアメリカでると思います。色々な要素があると思いますが、母達、子供達にとって、パパさん達が育児に積極的になっている姿というのは、日本でもあるべき形であると思いました。 

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